歌詞試し書き2

「緩やかな消失と自我の形成」

 

なんだったけな

大好きだったあの子は

きちんと心の中にいたのに

いつの間にか消えちまったんだぜ。

 

震える手のひらを

眺めてみても

なんか笑顔が素敵だったしか

思い出せないね。

 

緩やかに消えていく

自分の感情がもどかしくて

酒を飲んで煙草を吸う

痙攣する瞼が少し重い

 

なんだったけなあ

なんだったけなあ

大好きだったあの子の

唇の味は思い出せるのに

あの子の名前は忘れてしまった。

 

緩やかに消失していく感覚に

僕は戸惑っている。

緩やかな消失は今まで不明瞭の自我に

形成という世界を与えた。

 

僕は常に形のない心だった。

むき出しの愛情についても

理論的な感情についても

僕には意味もなく

 

生きる上での

生殖反応だけが

唯一の感覚だった。

 

僕は緩やかな君の消失をもって

僕は新たな自我を形成するにあたった。

なるほど

 

僕は君を愛していた。

記憶に残らないのは

君の消失について

僕が思う以上に痛みを

感じていたからだった。

 

なんだっけな

なんだっけな

君の顔も

君の名前も

大好きで仕方ないのに

 

忘れてしまった

忘れてしまった

緩やかな消失と引き換えに

 

体を引き裂くような痛みを

忘れるがために

僕は緩やかな消失と引き換えに

明確な僕を手に入れた。